企画展の見学 午前の授業は県立陶芸の森陶芸館の特別展「北欧のスタイリッシュ・デザイン」の鑑賞から始まりました。大槻倫子学芸員さんから、「北欧では雪に閉ざされる期間がとても長いので、室内を自分たちの好きなもので飾るようになりました。」と人々の暮らしと焼き物の関係や焼き物を使う人々の思いについて話していただきました。
次に、大変大きな登り窯を見学した後、滋賀県無形文化財で招へい作家として陶芸の森で制作中の高橋春斎さんが、轆轤(ろくろ)をまわすのを囲んで見学。子どもたちは魔法のようにみるみる形になっていくのを驚きながら、真剣に見つめていました。
作陶を見つめる子どもたち午後からの授業に備えて、授業が行われる古民家に移動。この古民家は、NPO法人秀明自然農法ネットワークが浅井町にあった江戸時代の民家を移築されたものです。ここで、おくどさんで炊いたごはんのおにぎりと無農薬の自然農法でつくられた野菜などを、学校でつくった篠原焼のお茶碗でいただき、午後の授業に臨みました。
昼食の後、まずは邦楽との出合いです。MIHO MUSEUMの畑中章良学芸員さんから小鼓についてのお話を聞き、その音色を体験しました。
続いて、琵琶の演奏家である畑尚水さんの琵琶の演奏と語り(平家物語 敦盛)を聞きました。そして多賀大社の大宮修身権禰宜から龍笛についての説明を受けた後、「超天楽今様」を龍笛に合わせて児童もリコーダーを演奏。河合長官も一緒にフルートを演奏してくださり、フルート、リコーダー、龍笛のハーモニーが広がりました。
演奏が終わると、長官から、リコーダーの吹き方についてや、新しい文化を学ぶことも大切であるが、日本の古い文化も心の中に持っていることも大切であるというお話を聞きました。
後日子どもたちが河合長官に手紙を書きましたが、「河合先生のフルートはたいへんきれいでした。でも速さが私のリコーダーと合わないところがあって、緊張しました」と書いた子どもさんがいたそうです。龍笛を教えていただいた大宮さんが雅楽の説明の中で「息が合う」ということを話されましたが、まさに、子どもたちは河合長官と超天楽の合奏を通して、互いの演奏をよく聞きあい、文化で「息が合っていた」瞬間でした。
レポート1
河合隼雄文化庁長官が視察に来られました。
~子どもの美術教育をサポートする会が支援する連携授業を視察
(平成17年6月10日、甲賀市信楽町にて)~
授業の後、MIHO MUSEUMにおいて、子どもの美術教育をサポートする会と、連携授業の関係者(学校や地域、文化施設の関係者、学生ボランティアなど)の皆さんが長官を囲み、意見交換を行いました。
参加者からは、「連携授業からは、学校現場だけでは得られないものを得ることができる」「古民家に入ると子どもたちが『懐かしい』と声を上げる。体験していないのに『懐かしい』という感想が出てくるのがおもしろい」「楽しそうにしている子どもたちを見るのが楽しい」「土は子どもたちの心に響く素材」「授業を受けた子どもたちの心の変化についての研究が必要」「子どもたちの親も一緒に参加できるものをやってはどうか」などの意見が出ました。
河合長官からは、「『つくる』など何かを実際にやってみることができるのがこの取組の強み」「やっている人が楽しいことが大事。しかし本当に楽しいことは『苦(くる)楽しい』。楽しみを見出すための苦しみも伴う」「子どもたちの親が連携授業を理解するための取組も必要」「垣根を壊すことによって、新しい創造が生まれる」などのアドバイスがありました。

連携授業を見学させていただき、子どもたちが本物に出合う体験をサポートするために、多くの大人たちが真剣に取り組んでいることに感動しました。そして、6月10日という日を迎えるために、サポートする会のメンバーや学校の先生、学芸員さんをはじめとした関係者の皆さんの努力、そしてどれほどの子どもたちのがんばりがあったんだろうと感じました。子どもたちと大人が共に育ちあう場、連携授業の広がりを期待しています。
フルート、リコーダー、龍笛の合奏